こんにちは。
登戸店の鉄オタです。
PS5は一体どこに売っているのか...なんて考えて帰宅途中によったパラレルワールド「YODOBASHI」に寄ったら置いてあって、つい買っちゃった先週のハイライト。
ナンデアンネン...。YOASOBIジャナイヨ...!
さて、前回の鉄オタ回では、「ホームドアの種類」について取り上げました。
↑前編はこちらから。
今回の後編では、「ホームドアの設置が進まない要因と今後」について解説していきたいと思います。
1 - 何故、ホームドアの設置は進まないのか?
ネットニュースやTwitter等で人身事故の情報が入ると「なぜホームドアを付けないのか」、「ホームドアを付ければ防げる」などのコメントを目にすることがあります。確かに転落事故等は、ホームドアがあれば防げる事故であると推測しますが、ホームドアの設置が進まない要因が複数あるのです。それは設置費用・列車のドア位置など様々な要因が絡み合います。
2 - 実はとっても高額…そして重い...
ホームドアの設置費用は、駅構造(ホーム幅・ホーム構造)やその駅が存在する土台(高架・盛土・地下)など様々な環境要因によって異なりますが、片側ホームで1~3億円、一駅当たり約2~6億円程度(杭打ちなどの基礎工事等を含めると総額10億円以上とも)と言われております。また4ドアタイプ(従来型)で1両あたりその重さは2,000kgと言われており*、非常に重い構造物のため、元々ホームドアの設置が考慮されていない多くの駅では、プラットホームがホームドアを支えきれなくなる懸念が出てきます。その為、設置工事の他にホームの補強工事が必要となり、更に工期が伸びる要因となります。
*外見同じで工費安い、駅「ホームドア」新時代に | 駅・再開発 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
ちなみにホーム下には、落下時の避難場所として空間が取られていることが多く、補強工事が必要となった要因の一つです。
↑補強準備工事中のホーム下の様子(東京メトロ日比谷線・茅場町駅, 鉄オタ撮影)
↑補強工事済の様子(同上)
ましてや、複数のホームがあるターミナル駅などはさらに費用が嵩むと考えれます。また、その費用のおおよそを鉄道事業者が負担して設置していく事になるため、他の設備投資および車両更新などとのやり繰りも必要であると考えられます。
現在では、社会情勢によりホームドア設置の要望が高まっていることから、一部自治体による負担・助成金もありますが、それでも鉄道事業者には重くのしかかっており、設置が進まない要因の一つでもあります。
3 - 列車それぞれドアの位置が…
駅にホームドアを設置した場合、列車側とホームドア側のドア位置をそれぞれ原則一致させる必要があります。しかし、複数の列車が乗り入れる路線や特急列車など、ドア数が異なる列車が走行する路線では、一致させることが大きな課題となります。そのため、列車のドア位置を一致させるために車両を統一する、もしくは一般車と特急車のドア位置を合わせる必要があります。
東京メトロ千代田線では、普通列車と特急列車のドア位置を一部合わせ、ホームドアを開閉出来るようにしています。
※但しこの千代田線の場合、特急列車はドア位置が一致している一部車両のドアしか開かないため、乗降に時間がかかってしまい、後続車に遅延が出てしまうなどのデメリットがある。
山手線では、ホームドア導入の際に6ドア車を淘汰するため、先頭車両のドア位置に合わせた中間車両が導入されました。なぜ、中間車両が先頭車両のドア位置に合わせる必要があったのか?それは、11両編成の山手線の線路を10両編成の京浜東北線の車両が走行するときがあるのです。
しかし鉄道車両は1両あたり1~1.5億と言われており、全編成に導入するだけでもかなりの額であったと考えられます。
この後の京浜東北・横浜線では、10両・8両と編成両数が異なり、先頭車両は若干ドア位置が異なるのですが、8両の横浜線は京浜東北線の中間車両の位置に停止します。これに対応するため、従来型より開口部を広く取れるホームドアが開発されたことでわずかに異なるドア位置に対応したものを導入しています。
また旧型車両の車両更新時期や複数のドア位置の異なる車種が走行しているなどの理由から、利用者数が多いにもかかわらず設置できない路線が首都圏には多く存在しています。
例えば下の画像の中央線では、特急車両も通勤型車両も比較的新しいですが、通勤型車両全編成へのグリーン車の導入工事および12両化工事が進んでおり、車両導入期はドア位置が異なってしまうため、ホームドアはその次になると考えられます。
↑僅かにドア位置が異なるが、開口部を広くして対応出来る可能性がある。
利用者の多い東海道線では、定期列車で7種類のも形式が走行*し、特に特急列車や2ドアしかない普通列車グリーン車など通常4ドアに対してドア位置が大きく異なるため、今現在もホームドアは設置されていません。
*品川〜東京間における走行車種数。
↑上から常磐快速線E231, 東海道線E233グリーン車, 普通車
2ドア(グリーン車)が付いている列車と付いていない列車が走行しており、列車によってホームを分けるという事も不可能では無いですが、遅延時などに回復の障壁となり得るため、現実的ではありません。いつかはあり得るかもしれないですが。
※駅によっては特急専用ホームがある場合もあります(新宿駅など)
4 - ホームドアの進化
工事を行うと言っても駅ですので、列車が運行中は工事がほぼ不可能です。つまり、終電後〜始発前までの限られた約4時間程度の時間内で進められる範囲で少しずつ工事が進んでいきます。終電の繰り上げもコロナ禍による深夜帯利用減少による打撃を受けたものと考えられますが、繰り上げによって工事が進みやすくなると期待されます。
前編で取り上げた開口式ホームドアの説明に「安価・工期が短い」とありますが、”フルスクリーンタイプと比較して”ということです。そして冒頭の費用の金額は、概ね開口式ホームドアのことになります。全然安価でもなければ、工期も短くない!!!
ということで、従来型開口式ホームドアと比較して、さらに「安価・工期が短い」ということで考えられたのが昇降式ホームドアのような気がします(←推測)。
JR東日本は従来型ホームドアのさらに「工期短縮・軽量化」を図った「スマートホームドア®︎」を開発しました。JR東によれば工期が最大40%短縮されるそうです。一時期は「潜り抜ける事が出来てしまう」というコメントも見ましたが、ホームドアが無い状態とある状態では全く異なると思うのです。すーっと落ちるという事が無くなるのでね。
ちなみに、身近なところではJR横浜線 町田・淵野辺駅で稼働中です。
都営地下鉄浅草線・京急線では、異なるドア数の列車を検知するため、ドア窓にQRコードを貼り、ホーム上の装置で読み込む事で2・3ドアでのホームドア開口を可能にしています。
(↑デンソーウェーブと東京都交通局の共同開発)
JR西日本も2023年春開業予定のうめきた新駅への複数のドア位置に対応するフルスクリーンタイプを開発しているなど、ホームドアの進化はこれからも進みそうです。昇降式の逆襲はあるか、、、?
そんなこんなでホームドアの解説は終わりになります。割愛している部分もありますが.、この話題は鉄道の自動運転化に繋がりますので、乞うご期待?なんちゃって。
では次回の鉄オタ回では、「首都圏普通列車グリーン車」について紹介して行きます。
ではでは!!!
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